あなたは、最愛の人とふたりだけの時間を誰にも邪魔されずに過ごしたいときにどこへ行きますか。

 ホテル。そう答える方は多いでしょう。

 日本を訪れる外国人が驚くこと。それは愛を交わすだけのために用意されたホテルがあることです。こういったホテルでは、快楽を最大限に引きだしながら、ふたりの秘密を守れるように、とても想像力豊かな設計がなされています。そのドアの向こうで一体何が始まるのか、訪れる人々は胸を踊らせることでしょう。ラブホテル、そこは人々の想像力をかき立て、物語を生み出す空間なのです。

 ラブホテルへ行く人々とその「愛の物語」をちょっと想像してみましょう。
ふたりはどんな時間を過ごすのでしょうか。
ふたりは入ってからすぐに部屋を見わたすのでしょうか、それとも行為に熱中するだけなのでしょうか?

 ホテルはバッテリーのようなものとも言えるでしょう。人々の期待や興奮、快楽、現実、そしてやはり愛の行為がその部屋を愛によって満たしていくのです。

 でも、愛とはいったい何でしょう? 誰かを愛する人が、たったひとりで感じ、体験し、喜び、そして悩み苦しむこと。それらは、人間が人間であることのとても重要な部分を占めています。結果として、私たちは他者と何かを分かち合うことができるのです。私たちは心の底から愛を欲しますが、この願いはほとんど叶えられることなく、また叶えられたとしても、永遠に続くことはないのです。

 フランスの哲学者であり、作家であるロラン・バルトは『恋愛のディスクール・断章』で、愛についての虚構と現実について考察しています。恋愛をしている人の心模様を探り、その「旅」を文学的な手法で描き出しています。

 浅草にあるラブホテルの部屋に、この本から抜粋したフランス語の言葉とその言葉から生まれた短い文章(日本語)を配置します。それぞれの部屋にはそれぞれの言葉が置かれており、その言葉は部屋のお守りやタイトルのような機能を果たします。その部屋を訪れた人は、自分たち自身の愛の物語や相手との出会いなどをeメールによってホームページに送ることができます。そのキーワードが新しい物語を生み出し、ホームページ上にあるその部屋の中に匿名で記載されます。部屋を訪れ、物語を読み、そしてroom4loveに文章を寄せてください。

 この仕組みによって、愛についての想像上の空間、現実と虚構が溶け合う場所が生まれていきます。あなたはこの部屋を訪れることによって「愛の物語づくり」の一部になっていくのです。

シュテフィ・ユングリング